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想像力から世界を作る

 「僕の魔界を救って!」(通称僕まか!)というスマホゲームにハマっている。ハマっていると言っても2分触って数時間放置みたいなゲームなので忙しくても安心。別に忙しくないが。今やゲームといったらFF14とこれ以外全く触らなくなってしまった。
 プレイヤーは人間に魔界を奪われた没落魔王。ゴブリン1匹しか味方がいないどん底から、魔界を取り戻す戦いが始まる…という話。作戦と時間を決めて手下を送り出し、領地や捕虜を奪還してくるのをハラハラしながら待つ。帰還時間までひたすら待つ。以下繰り返し。
 説明だけだと何が面白いのかさっぱり伝わらないんだけど、自分でも何が面白いのかよくわからない。どんなに育てたユニットでも死ぬと永遠に失われる、そういうシビアな緊迫感のなかで部隊が生きて帰れる采配を手探りで模索するのがゲーム性なのだと思う。ユニットの種類も豊富なのでコレクション感覚でも楽しめる。最近FF14に実装された冒険者小隊がもっと複雑になった感じ。
 スマホ本体の設定画面のようなUI、アクション性なし、ユニットのイラスト等もなし、ペラペラ会話イベントもなし、主人公である魔王の味わい深い独白がちょこっと。非常に想像の余地があるゲームである。昨今の萌え萌えイラスト付きでいちいちフルボイスで喋るゲームに圧倒されるおじさんなので、まるで往年の個人製作ブラウザゲームのような温かみと懐かしさが心に優しい。子どもの頃部屋にあるいろんなものと会話していた身としては、こういう想像力を失わないようにしたい。えっ?独り会話遊びとか、したよね?
 
 先日初めて行くダンジョンに様子見がてら1時間半の作戦(長い時は10時間以上いくので短い方)で斥候隊を出したら、手塩にかけて育ててきた主力メンバーの一部もろともあっさり全滅してしまった。そこの土地の特性(得意属性以外は防御力低下)を甘く見たのと能力アップアイテムをケチったのが原因だった。そこまでかなりサクサクで進めていたので、油断していた。魔王であり指揮官であるぼくの傲りが、優秀な部下たちを殺したのである。すまん、ベルゼブブ(Lv.10)、ニーズヘッグ(Lv.11)他数名…。
 という風にうしなって初めて気づくなんちゃらってやつなのだが、ぶっちゃけ他のプレイヤーが売却した強いユニットを金払って雇えるし、というか主力の半分以上はそういう傭兵だし、我が魔王軍としては取り返しの利くレベルの損害である。それでもこの心を穿つ痛みは、何処から来るのか。単にぼくがセンチメンタリストだからだと言われればそれまでなのだが、たぶんこのゲームの極限までシンプルなデザインが逆に想像力を掻き立てる、みたいなところもあるのではないだろうか。このゲームではユニットの名前を自由に変えられるのであるが、今回ぼくの不徳の致すところにより殉職したユニットたちにもしなにか固有の名前でも付けてたらまじでお葬式してたところだった。テーブルトークRPGなんかはそういう想像を土台にして成り立つ遊びなのでは?やったことないけど。やってみたいけど会話しないといけないから怖い。


 些細な話なんだけど、そういう想像力をちょっと働かせることで楽しくなるものってあると思う。最近のゲームはどれもこれも美麗グラフィックでシステムも至れり尽くせりでコンフィグも懇切丁寧と来ているが、そのせいかちょっとした不具合や不満点もすぐ目に付く。むしろこうディティールをそぎ落としたものから空想する余裕があると、心穏やかに、なおかつちょっと豊かに遊べるのではないかと思うのだがどうだろうか。