幽霊の正体見たり、彼が好き

昔ね、チョコもらったんですよ。
昔っつーか、まあ高校時代の話ですけど。10年前ですね。

じゅうねんつったらオメー、「decade」っていうソレ専用の英単語まで用意されてる、あの10年。もはや一時代。
鼻垂らしてた小学生が東大生にまで華麗にジョブチェンジすると言われる、あの。
小学生が東大生になるほどの期間、ぼくは何してたかって、アッ、やめやめ、これ考えたらダメなやつ。
意外と大昔話になりそうですけど、とにかく高校時代。
そう、チョコね。もらったのよ。

ご存知の通り女性比率がべらぼうに高い部活に所属してたので。
年頃の女の子たちはそういうキラキライベントが大好きみたいで、2月中旬、ガールズチョコ交換会が開催されるわけです。
にわかに甘く匂い立つ部室。ここ製菓研究部だっけ?
そのついでに男どもにも恵んでやるよって感じでね。
一応建前上は男性にあげるルール?ですからね。一応。
基本的にはデカい生チョコ塊を一口サイズカットした一切れとかですけど、気合入ってる子は有難いことに可愛くラッピングしたのとかくれるんですよ。もちろん義理ですけど。
人数が人数なんでけっこうたくさんもらっちゃった。えへへ。

懐かしいですね。チョコレートの味は青春の味、つってね。
いやまあ、チョコ味はただのチョコ味なんスけど。
ゴディバとかリンツとか食べてもあんまり違いがわかんない馬鹿舌なので、青春の味って言われても、ねえ。(もちろん大変うれしいです)

 「一生分のチョコもらっちゃったな~、卒業したらもう誰にもチョコもらえねえな~」

なんて笑ってたら、マジのガチでその通りになった。

 

ところが、そんなぼくも一度だけ、義理じゃないやつを貰う機会があって。

その後10年、これほどまでに何事もなく静かな人生になるって知ってたらね。
今思えばもっとこう、平身低頭して涙の謝辞を述べるべきだったんですけど。
でもあの頃は、まさか人生最後になるとは想像もしてなかったみたいでさー。

「おっ、ありがとう」

なんて、軽~く爽やかにね、笑顔でね。
したっけ、その子がさ、照れくさそうに、ちょっと申し訳なさそうにね、言うの。

「私、実はチョコレート苦手で…」

チョコじゃなくてアップルパイくれた。


ううん、アップルパイも好きだから大丈夫だよ。チョコと同じくらい好き。なんならチョコより断然好き。むしろ君が好き。

そういうわけで、ぼくは「本命チョコ」なるものの存在を信じていない。

 

ところで幽霊って見たことあります?ぼくはないです。
でも幽霊っていう概念はすっかり人口に膾炙してる。
見たことあるって言うひともそれなりにいるっぽい。
ぼくも、いるならいたほうがいいなーって思う。
それだけ世界が広がるってことだから。

しかしね、一応自分、根拠のない話には乗らないようにしてるんで。懐疑主義者なんで。この目で確かめるまでは、安易に「幽霊います」とは、ちょっと言えない。言いたくても言えない。
もちろん「いません」とも言えないけど。
そのうえで、心霊モノはフィクションとして好きです。
いたらいいねーって希望を込めて、ホラー映画とか観てる。


「本命チョコ」もね、ほんと、あったらいいなーって思う。マジで。
それだけ世界に愛があるってことだから。

でも悲しいかな、恥ずかしながら見たことがないので。
幽霊と同じくらいの水準で、見たことなくって。
「本命チョコ」なる概念が少なくとも日本では広く普及してること、知ってるよ。
テレビやネットや雑誌に情報が盛りだくさんなのも、知ってる。
幽霊よりもかなり信憑性高そうな噂とか体験談とか、聞こえてくるような気もしないでもない。
なんかもう隙を見せたら存在するって納得しそうだけど。
それでもこの目で見るまでは、世界に「本命チョコ」が存在すること、まだちょっと、信じられない。


皆さんはどうですか。
幽霊、見たことありますか。