メタルはまだ地球を救えないがそのうち救えるようになる

完全に四角い置物と化していたニンテンドーSwitchを輝かせるべく『がるメタる!』というゲームを買った。一通り遊んだ感想。


良かったところ
・シナリオがバカ楽しい
・かわいい
・慣れればライブ感のある体験ができる


悪かったところ
・ジョイコンの操作感が悪い
・練習モードが自由にできない
・むずい
・価格割高

メタルバンドのドラムをやる音ゲーなんだけど、基本的なノリは完全におバカ。ストーリーモードのシナリオはハチャメチャとしか言いようがないが、なんだかそれが許される雰囲気がある。序盤は何言ってだコイツと思うものの、終盤になってくるとどうでもよくなってきて普通にめちゃくちゃ熱い。黙ってウチらのメタル聴けや。
かわいいキャラクターやUIも魅力。「女子高生バンド」などというオタクの汚い手垢まみれの素材ながら、オタク臭くないかわいらしさと青春を表現している。かわいい。LINEのグループチャット風テキストパートは完全に自分がJKになったと確信した。JKとLINEしたことないのでわからんけど。
そんなおバカな女の子らしさとはまた別に、全体的にそこはかとなくマニアックというかギークというか、わかる奴だけわかれみたいなネタも仕込まれていて面白かった。あまり詳しくないのでわからんネタも多かったけど、「長寿と繁栄を」*1とかはンフッてなった。一介の女子高生がボイジャーとゴールデンレコード*2なんぞ知ってるわけないだろうが。そんな女子いる?いたら付き合いたい。凜子、好きだ。

肝心の音ゲー部分、本作は音ゲーでありながら譜面が存在しない。ジョイコンをスティックに見立てて、スネアバスドラシンバルを曲に合わせてノリノリで叩いてるだけでなんか点数が加点されていってクリアー!みたいな。なんなら画面全く見てなくてもいい。メタルに身を委ねろ。
とは言うものの、実際やってみるとこれがかなり難しい。まずジョイコンの判定が全然思い通りにならん。色々試行錯誤してマシにはなったが、ストレスを完璧に無くすまでは至らず、諦めてボタン操作にした。ボタンやタッチパネル操作だとタムやハイハットも叩けて何気に本格的。ちゃんとジョイコンで遊べてる人もいるのでプレイ環境かセンスの問題かもしれないが、「誰でも気軽に」と謳っておいて初っ端に相当の慣れが必要なのは如何なものか。これだから任天堂体感ゲーム路線は嫌いなんだよ。
で、叩けたら次はライブなんだけど、ある程度のスコアを出そうと思ったらリズムパターンを覚える必要があるのに、パターン一覧はオプション画面(見るだけ)かストーリーモード内の個人練習(遊べる機会が限られる)でしか確認できない。これがかなり不便。スコア計算もイマイチ不透明で、コンボだと1小節あたり1万2万点のところ、何らかの条件を満たすともらえるストラクチャーボーナスやリフレインボーナスが100万200万点というスケールなので、これが出ないと話にならない。「何らかの条件」がわからない限りB以上のスコアは出ないと思っていい。私は運が良いと出る(わからん)。
また、たとえリズムを覚えてもテンポキープができないと悲惨。ドラムだから当たり前なんだけど。判定が割とシビアで一旦見失うと結構な時間無意味(テンポやリズム外した小節は50点しかもらえない)とかもあり得る。マジもんのセッションやでこれは。しかも当然ながら自分以外はミスしないので、ヘタクソなうちはなんとも惨めな気持ちになる。逆に上手くいくと「あ、俺バンドやってる…」感が凄い。完全にライブ。
ストーリーモード内の演奏は1周目なら合格点が異様に低いので、何もわからずドンドコしてるだけでもシナリオクリアは可能。ただ、そのスコアのままだと音ゲーとしての魅力は半分も味わえていない。叩くと音が出るので楽しい、のレベル。

これは経験談だけど、楽器て完全な素人から始めると最初は何もできない。音が出るだけではしゃいでいられるのもつかの間、思ったように操るのは本当に難しい。モノによってはそもそもまず音が出ない。音楽とはたゆまぬ反復練習の賜物なのだ。バンドマンなんてチャラ男のイメージだけど、実はかなり地道な練習してるんだと思う。してるよな?楽器出来る人は本当に尊敬する。自分は挫折した側なので。
良くも悪くも、本作はそういう音楽演奏のとっつきにくさがよく再現されていると感じた。ガイドやチュートリアルが親切でなくプレイヤー自身の上達だけが頼りなので、ゲームとはいえマジな練習と身体的成長が物を言う。だからこそ、上手く出来たときの楽しさや達成感は「本物」に近いのかもしれない。

ゲーム全体として不満点は多々あるものの、シナリオクリアするだけでも面白いし、そこからよぅし練習してみよう!っていう気持ちが芽生えるなら、音楽体験への気軽な足掛かりとしては良いゲームかなと思う。よくある音ゲーの枠から飛び出そうという気概は感じられる。あとはボリュームに対してやけに強気な値段さえ気にしなければ、単純にビジュアルの良さだけでも遊ぶ価値はある。かわいいんだよ、ほんとに。

*1:映画『スター・トレック』に出てくるヴァルカン人の挨拶

*2:1977年に打ち上げられた探査衛星ボイジャーに搭載されたレコード盤。地球外生命体が発見したとき人類のことが分かるようになんかいろいろ記録してある。